アマゾン・ドット・コムに関する声明


2010年11月13日 国際エクパットは、アマゾン・ドット・コムが“Pedophile Guide(仮訳:児童性犯罪者向けガイドブック)”の販売を停止したことを歓迎するとともに、子どもの性的虐待を描写したり正当化したりするあらゆる表現は、いかなる状況下であれ、正当化したり許容したりすることのできない犯罪として非難します。

国際法である、国連の「子どもの売買、子ども買春及び子どもポルノに関する子どもの権利に関する条約の選択議定書」によれば、子どもポルノは、“性的活動に従事する子どもを、いかなる手段によるかは問わず描いたあらゆる表現”と定義されています(第2条(c))。従って、この選択議定書を批准した国内における、子どもポルノの違法行為についての各国内の法的定義は、性的に虐待された子どもの視覚的、聴覚的表現はもちろん、性的活動に従事する子どもを文書で描写したものも含むべきだと考えています。文書での描写とはたとえば、“The Pedophile’s Guide to Love and Pleasure: a Child Lover’s Code of Conduct(仮訳:愛と悦楽のためのペドファイル向けガイドブック~小児性愛者の行動規範~)”といった出版物などを言います。これは最近アマゾン・ドット・コムで購入が可能となりましたが、国際社会で反感を買い、またこの米国を拠点とするオンラインショップへの不買運動に発展する恐れがあったため、その後、取り扱いを中止しました。

米国政府は子どもの売買等に関する子どもの権利条約選択議定書を批准したものの、米国では子どもポルノの定義は、性的活動に従事する子どもの視覚的表現のみと定めているとし、第2条(c)を留保している。その結果、子どもの虐待を文書や音声で記録したものは、合法のままです。これが、米国において子どもポルノから子どもを守る上で、法律上大きなギャップを生んでおり、とりわけアマゾン・ドット・コムで販売されていた、グリーヴズ氏による上述の著書のケースはまさにその一例です。

このように危険な法的抜け穴があるがゆえに、American Booksellers Foundation for Free Expression(仮訳:自由な表現を支持する米国書籍販売者協会)のクリストファー・ファイナン会長が、「アマゾンには、米国憲法修正第1項(言論の自由)で保障された権利により、子どもポルノにあたらない、あるいは、法的にわいせつにあたらないものであれば、いかなる書籍も販売する権利がある」と堂々と主張するのをまさに許してしまってます。フォックス・ニュースは、「グリーヴズの著書には、イラストが含まれていないので、子どもポルノにも、わいせつ物にも該当しない」というファイナンによる発言を引用しています。

これは、米国が国際人権条約に留保をつけることを選択すると、人権侵害が起きた時に対処できる可能性を低下させ、対処の範囲を狭めてしまうことを示す一例と言える。国際エクパットはまた、民間企業が(当然持つべき)社会(特に子ども)に対する倫理的責任だけでなく、世間一般の人々と同様に、(その行為に対して)法的責任を問われるべきだと強調します。

国際エクパットは、次のように聞いてショックを受けました。「アマゾンは、我々あるいはその他の人々が、単に文中のメッセージが好ましくないという理由で、特定の書籍を販売しないとしたら、それは検閲にあたると考える」とし、またグリーヴズ氏の書籍に言及して「すべての人に、どの書籍を購入するかを決定する権利があるという考えを支持する」と述べました。

性的虐待や搾取から子どもの人権を守るための包括的法律を作る要求は、個人のもつ表現の自由の権利に相反するものとして捉えられてはなりません。というのも、大人と子どものすべての権利は、階層的な上下関係がないように等しく守られねばならないからです。子どもの性的虐待を描写し、手引きする内容の書物は、国際法のもとでは子どもポルノにあたり、その根本的な目的や用途、子どもへの影響は明らかであるので、いかなる状況下であれ、特定の形の表現として許されるべきではない。エクパットは、アマゾンがその国際的なインターネット・システムを通じて、販売促進したり、販売したりする物品についての責任を免がれるべきだという考えは、受容しがたいと考えている。実際、このような児童虐待にあたる物品を販売することは、子どもの性的虐待を正当化したり、合理化したり、あたかも正常であるかのようみせかけることに寄与し、こうした犯罪の存在を社会がますます容認してしまうことにしかつながらないからです。

国際エクパットは、どのような状況下であれ、そのような犯罪は決して正当化されるべきではないという固い信念を持っています。国際エクパットはさらに、アマゾンのように、全世界でサービスを提供し、世界中に何百万もの顧客を持つ大規模なコンテンツ・プロバイダーは、子どもの権利を守る対策を取り、また子どもの権利へのコミットメントを示すことが極めて重要であり、また、子どもの権利を守る上で有害な物品の流通を促すために、口実として言論の自由を利用しないことが極めて重要であると考えています。

国際エクパットは、民間セクターの組織に対し、これまでよりも積極的な姿勢をとり、子どもを性の対象物として描写していると思われるすべての物品の排除をするためのより統一されたアプローチを採用するよう、強く促すものです。

国際エクパットは、子ども買春、子どもポルノ、性目的の子どもの人身売買を根絶するという目的のために、世界中の82ヵ国の組織が協力して活動している、特定の目的を持った子どもの権利ネットワークです。世界中の子どもたちが、あらゆる種類の商業的な性的搾取から守られ、基本的な人権を享受できるように、国際社会に働きかけています。

さらに詳しい情報をお知りになりたい方は、学校教育およびコミュニケーション担当のEleonore Dziurzynski(eleonore@ecpat.net or media@ecpat.net)までご連絡ください。

国際エクパット タイ国バンコク市 ファヤ・タイ・ロード 328/110400
電話番号: (+66) 2215 3388
ウェブサイト http://www.ecpat.net

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