子どもの売買、子ども買春及び子どもポルノに関する国連特別報告者の報告―結論と勧告の仮訳


【2009年7月13日、子どもの売買、子ども買春及び子どもポルノに関する国連特別報告者ラジャット・マーラ氏により、国連人権理事会に提出された報告A/HRC/12/23から】

III 結論と勧告(ECPAT/ストップ子ども買春の会 仮訳)

122. 多くの行動がとられ、成功している方法があるにも関わらず、より多くの子どもの特定、よりよい子どもの保護や彼らの権利を完全に保証することに関して、さらなる進展がなされなければならない。

123. そのためには、何よりもまず子どもポルノは犯罪であり、子どもの尊厳や身体的精神的尊厳に深刻な影響を及ぼす子どもの権利の重大な侵害であると宣言されなければならない。

124. 子どもポルノを防止し根絶する為に、また子どもポルノの製造・頒布や、オンライン・オフラインの両方において性目的で子どもをそそのかすことにインターネットや新しい技術が使用されることを防ぐために、特別報告者は勧告を行う:

  • (a)子どもポルノを扱った地域的・国際的な条約、とりわけ「子どもの売買、子ども買春及び子どもポルノに関する子どもの権利に関する条約の選択議定書」をまだ批准していない国家による批准。
  • (b)子どもの権利を尊重し、インターネット上での性的搾取の犯罪から子どもを保護する事を保証する、明確で包括的な国内法の採択。
    • (i)未成年を18歳未満の人間とした国際条約に従いインターネット上の子どもポルノを定義し、禁止し、犯罪とする。
    • (ii)未成年は、ポルノ的な活動を含む性的搾取への参加について同意できる立場にあると決して見なされてはならないことを規定する。
    • (iii)子どもを搾取するバーチャルな画像や描写を含む子どもポルノの製造・頒布・意図的な受領・所持、およびたとえ身体的な接触がなかったとしてもそのような画像を意図的に使用、アクセス、閲覧することを犯罪とする。
    • (iv)インターネット上での性目的で子どもをそそのかす行為(グルーミング)を犯罪とする。
    • (v)インターネット・サービス・プロバイダー(ISP)、携帯電話会社、検索エンジン会社やその他の関連する者に対し、あらゆる違反を警察に通報し、サイトへのアクセスを遮断し、裁判の前の捜査や起訴の目的の為に定められた基準に従って記録を保存することを要求する。
    • (vi)金融機関に対し、子どもポルノサイトに資金を提供するような金融メカニズムの機能を報告し、ブロックし、阻止することを要求する。
    • (vii)被害者のプライバシーを守るため、子どもが性的に搾取されている画像を含むサイトへのアクセスをブロックすることをすべてのISPに対して義務づける。
    • (viii)性的に搾取された子どもの被害者が、犯罪者とみなされたり、搾取と直接に関連した行為のゆえに処罰されたりせず、むしろ人権侵害の被害者であると考えられ、適切なケアを受けることを保証する。
    • (ix)子どもや青少年の性的搾取のすべての事件に対して国外犯規定を確立し、二重の危険の原則(一度審理審判を受けた事案は再び罪に問われない 訳者挿入)を廃止し、このような犯罪の効果的な訴追と適切な処罰を科すことを保証する観点から相互の法的協力を推進し、既存のまた今後の国外犯条約においては、子どもや青少年の性的搾取に関わる すべての行為が含まれるよう考慮する。
  • (c) 子どもの被害者の特定と保護、及び専門家による支援とケアの提供に、高い優先順位が与えられるべきである。これは(以下のことを)含む。
    • (i) 必要な情報(氏名、アドレス、暗証番号やパスワードで保護されたデータ)へのアクセスを提供し、より効率的な画像分析の方法を開発するのに必要な専門性やリソースを利用可能にすることにより、性犯罪者による子どもの被害者をより効果的に迅速に発見できるよう、専門の担当者を訓練すること。
    • (ii) 情報の収集や交換と国境を越えたコミュニケーションの枠組みを提供・推進し、子どもを助けるためのより効果的な行動という観点から、被害者と加害者に関するデータベースへの情報の蓄積を進めること。
    • (iii) 性的搾取を即時に終わらせ被害者が完全に回復するのに必要な援助を提供する為に、被害者の調査や特定を促進する調査や技術の開発の為の官民のパートナーシップを推進すること。
    • (iv) 現行の国内法や司法手続きを考慮に入れ、捜査と司法の手続きのあらゆる段階で子どもの性的搾取の被害者と加害者の身元を守るため、彼らのプライバシーの権利を促進し守る。彼らを特定できるかもしれない情報の公開を防ぐこと、そしてとられる手段が子どもにとって適切であることを保証し、全ての司法過程への子どもの参加を促進すること。
    • (v) 被害者と家族を支援し、子どもが完全に回復するまでの間のケアをする為に必要なリソースと専門性を配分すること。
    • (vi) 子どもの性的虐待画像を含むインターネットサイトの世界規模のリストを維持し、常に更新し、国家に利用可能にする事によって、被害者が更に侮辱を受ける事がなくて済むよう、性的搾取を受ける子どもの画像の流通を止めること。リストは警察のサービスやISPが、疑問のあるサイトへのアクセスを遮断する事を可能にするであろう。
  • (d) 民間セクターに関しての、より広範で効果的な社会的責任の行使。この点では、ISP、携帯電話会社、インターネットカフェ、金融機関やその他の関係者は、(以下を行うべきである。)
    • (i) 自主的な行動綱領を策定し履行すること。
    • (ii) 視覚的な画像や搾取的な性質を持った子どもの描写を含んだ子どもポルノの製造と頒布のみならず、オンラインやオフラインでの子どもの性的そそのかしの為にインターネットやその他の情報技術を使用することをも防ぐ為の手段を支援し開発すること。
    • (iii) 子どもの性的搾取の目的の為の取引に用いられた金融メカニズムを発見し、解体する為の行動を開始すること。
    • (iv) 特に電話ホットラインやインターネットサービスの手段によって、需要を根絶することを目的とする努力を支援し、子どもポルノの被害者やその家族への支援を改善すること。
    • (v) インターネット、携帯電話や搾取の為の新技術を利用することと性的搾取のリスク、及び自分の身を守る手段に焦点をあてた、子ども・親・教育者・青年組織・子どもの為や子どもと共に働く組織の為の教育や、意識啓発キャンペーンの開発を助けること。
  • (e) 改善した防止には(以下のことが)要求される:
    • (i)現在までに開始されている防止プログラムについて、効果を測定するという観点から評価すること。
    • (ii)インターネット、携帯電話や他の新技術の使用に伴う性的搾取のリスクについての知識を増進するという観点から、子ども・親・教育者・青年組織・子どもと共に又は子どもの為に働く人々の為に、インターネット、携帯電話やその他の新技術を利用することに伴う性的搾取のリスクについての知識を増進する観点から、教育や意識啓発キャンペーンを組織すること。こうしたキャンペーンは、どのように子どもが自分たち自身の身を守れるか、援助を受けられるか、オンライン上の子どもポルノや性的搾取を通報できるかに特別に注意を注ぐべきである。
    • (iii)子どもによるインターネット利用に伴うリスクについて意識を高め、知らせることを目的とする、子ども・家族・社会向けの視聴覚番組を開発するために、メディアとのパートナーシップを確立すること。
    • (iv)特に不適切で有害でありうるような子どもの画像を遮断するためのフィルタリングの技術を、親・保護者・教育者がアクセス可能で、手頃な価格で、利用者が使いやすいものとして提供すること。
  • (f)子どもの参加の増進。その為には(以下のことが)要求される:
    • (i)子どもにどのように自分たち自身を守り、助けを求め、サイトやそそのかし行為(「グルーミング」)を通報するかについて情報を与え、教え続けること。
    • (ii)オンライン上の子どもポルノに対する意識を高め防止することを目的とする子どもによる又は子どもの為のプログラムへの援助を通じ、キャンペーンにおいて、政策やプログラムの開発、フォローアップ、評価等すべての段階において、子どもや青年の参加を促進すること。
    • (iii)この分野における子ども・青年のイニシアチブのための基金の創設を検討すること。
  • (g) 国家間に国境が存在しないインターネットに関しては、あらゆる場所の子どもを守る為に効果的で効率的な協力が要求される為、国際協力の増進。その為に、(以下のことを)要求する:
    • (i)情報、情報へのアクセスや情報の交換、コンピュータへのデータの保存、法律とISPの適用に責任のあるサービス間の官民パートナーシップの規則、訓練やその内容の方法の分野での実施や手続きを協調化してゆくこと。
    • (ii)学際的な多国間のワーキンググループを発展させること。
    • (iii)インターネットに関係する犯罪を通報する国際的な仕組みを確立すること。
    • (iv)途上国のオンライン上の子どもポルノと闘うことを目的に、既存の多国間、地域間、二国間のプログラムを通じ、経済的、技術的、そしてその他の支援を提供すること。
    • (v) 現在はほとんどが北側諸国に集中している子どもポルノの防止や闘う為の活動の範囲を、南側諸国を含むように拡大し、すべての子どもにどこにいるかに関わらずアクセス可能なものとすること。
    • (vi) 国内で、すべての国家間で、実践や手段に出資し、普及すること。
    • (vii)とりわけ警察捜査のための多国間の協定を締結すること。
    • (viii)子どもの性的搾取に係わる犯罪組織と闘う為に、またこの組織犯罪の形態に係わるあらゆる個人や法人の起訴を確実にする為に、国や国際レベルでの協調化された行動をとること。
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