第2回世界会議(2001年)


2001年12月、スウエーデン・ストックホルムに引き続き、横浜で「第2回子どもの商業的性的搾取に反対する世界会議」が開催されました。
 第1回の会議が、政府とNGOが対等の立場で行われたことにならい、日本政府(外務省),国際機関(UNICEF)、NGO(国際ECPAT)の三者が対等な関係で開催することを目指しています。この事は、日本政府にとっても初の試みとなりましたが、日本ユニセフ協会をはじめNGOとの話し合いと協力によって準備されてきました。日本のNGOにとっても、この経験が今後、政府とNGOまたNGO同士のネットワークおよびパートナーシップの強化になることを期待しています。
■経緯
 1900年代初めから「子ども買春」の問題がクローズアップされ始め、各国で様々な取り組みがなされてきました。そして、1996年8月にスウェーデン・ストックホルムにて「第1回子どもの商業的性的搾取に反対する世界会議」が開催されました。この会議では、子どもの商業的性的搾取の根絶を目指す宣言と行動アジェンダが採択され、この会議の後、日本では、短期的な取り組みとして啓発ポスター(犯罪です!子ども買春)の作成、長期的取り組みとして法制化を目指してきました。
 1997年から、スウェーデン大使館、日本ユニセフ協会、ECPAT/ストップ子ども買春の会の協力により5回にわたり同会議のフォローアップ会議を開催してきました。この会議には、NGOの他、関係省庁、議員、弁護士、また民間セクターからの参加があり、各方面の様々な取り組みや現状報告がされました。
 1999年11月に「児童買春、児童ポルノ等に係る行為等の処罰及び児童の保護等に関する法律」施行された事は、このフォローアップ会議の大きな成果といえます。世界会議後 3年間で法制化を果たした日本に対し、第1回世界会議開催国であるスウエーデン政府からの強い呼びかけもあり、日本政府は2000年5月、「第2回子どもの商業的政敵搾取に反対する世界会議」の日本開催を決定しました。
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■内容と特色
★会議の目的
 1) 第1回世界会議で採択された行動計画の実施に関する政治的コミットメントの強化
 2) 行動計画の実施状況の評価
 3) 各国の成功例と経験の共有
 4) 世界会議のフォローアップ・プロセスの強化
★6つの主要テーマ
 1) 子どもポルノ
 2) 子どもの性的搾取からの予防・保護及び回復
 3) 子どもの人身売買
 4) 民間セクタ-の役割と責任
 5) 性的搾取者
 6) 立法と法執行
会議までの動き
★2001年★
■11月30日:横浜会議会議を成功させる会(最終回) 参議院議員会館会議室
■10月25日:IPC(国際企画委員会)第5回会合 日本ユニセフ協会ホール 横浜会議を成功させる会
■ 9月26日:IPC(国際企画委員会)第5回会合 日本ユニセフ協会ホール 横浜会議を成功させる会
■ 8月21日:IPC(国際企画委員会)第5回会合 日本ユニセフ協会ホール 横浜会議を成功させる会
■ 6月18-19日:IPC(国際企画委員会)第4回会合
■ 6月15日:横浜会議を成功させる会
■ 6月11-15日:国連子ども特別総会第3回会合
■ 3月8日:横浜会議NGO懇談会(「横浜会議を成功させる会」へ改称)
■ 2月29-3月1日:IPC(国際企画委員会)第3回会合
■ 2月26日:国際シンポジウム 第2回児童の商業的性的搾取に反対する会議に向けて(国立京都国際会館) 共催:外務省 日本ユニセフ協会
■ 2月19日: 国内委員会第2回会合
■ 2月16日:「児童の商業的性的搾取に反対する国内行動計画」発表
★2000年★
■12月21日:「国内行動計画」のためのNGOからのヒヤリング(外務省)
■12月20日:横浜会議NGO懇談会
■11月20日:ユニセフワークショップ・国際シンポジウム開催 (日本教育会館・一ツ橋ホール) 主催:日本ユニセフ協会
■10月23日-24日:IPC(国際企画委員会)第2回会合 (ジュネーブ)
■10月18日:国内委員会第1回会合 (出席:関係省庁,議員、NGO、横浜市)
■ 7月27-28日:IPC(国際企画委員会)第1回会合 (東京)
■ 7月26日:第1回勉強会(後、横浜会議を成功させる会)
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2000年11月20日「国内行動計画」ワークショップ報告
2001年12月の「第2回子どもの商業的性的搾取に反対する世界会議(横浜会議)」に向けて2000年内に「国内行動計画」を作成するにあたり「横浜世界会議のための懇談会」事務局である日本ユニセフ協会が、この問題に関わるNGO〔日本国内〕に呼びかけワークショップを行いました。  全体会の中では、参加者としてタイから来日されたチェラロンコン大学教授のヴィティット・ムンタボーン氏から、アジアでの子ども買春の状況、「国内行動計画」について各国及び日本の行動計画案へのコメント、そして「横浜会議」に向けての展望を述べられ、子ども買春の問題の中で、それぞれの国が抱える共通の状況としてNIMB(ニンビ)と言われる”自分には関係無いとする態度”があることを指摘されました。  また、ストックホルム会議の「行動アジェンダ」の訳者でもあり、ECPAT行動アジェンダ実施に関する第4回報告書(1999年から2000年の各国の状況)”Looking back”の訳者でもある宇佐美昌伸氏からは、その内容の紹介がありました。
 そして全体会のオープニングには第1回世界会議〔ストックホルム会議〕の政府団代表を務めた清水澄子参議院議員もお忙しい中、出席されました。
 分科会では、・実施・監視体制、・子ども参加、・意識啓発・研修のワークショップが行われました。意識啓発・研修のファシリテーターは、ストップ子ども買春の会の宮本潤子共同代表が務めました。
 
2000年11月20日分科会報告:子ども参加
   第1回世界会議(ストックホルム)の行動アジェンダに基づき「国内行動計画」について子ども参加をどのように提案していくか、また「第2回世界会議」における子ども参加をどのように実現させていくかについて話し合われました。
   「国内行動計画」については、・「子どもの商業的性的搾取」問題を含む、「子どもの基本的人権」の実現を阻害する諸問題について、子どもたちが必要な情報を取得し、意見を表明し、行動を起こすためのプラットフォームの発展を支援すること、・子どもに関わる国際、国内及び地方レベルのプログラムの企画を企画・実施プロセスに子どもたちが彼らの成長の度合いに応じて参加できる環境を整備することが案として提示されました。
   これらの事を具体的に実現していくために、5月にマニラで開催された「国際ECPATユース会議」をひとつのモデルとしてこの会議の企画委員や運営に関わったユースを講師として招き子ども参加についての話を聞くなどワークキャンプで行ってはどうか、また、子どもたちが、いつでも好きなように集まり活動ができる場所や予算ををどのように確保していくか等についても話し合われました。  ”子ども参加”について参加そのものについて議論の必要があるのでは、との会場からの意見に対しタイから招かれたチェラロコン大学教授のムンタボーン氏の「子ども参加は、彼らの当然の権利です。」との発言は完結していました。
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2000年11月20日 ユニセフ国際シンポジウム参加報告
後援 外務省、読売新聞社、ユニセフ議員連盟、NHK、国際協力事業団
テーマ 「子ども達の20世紀」
内容
●1.主催者挨拶  澄田 智 (日本ユニセフ協会会長)
●2.基調講演   ヴィティット・ムンタボーン(タイ・チュランコン大学法学部教授、元国連人権委員特別報告者)
「子どもの基本的人権が確立するまで」「今日は私の父と、子どもの権利条約の誕生日にあたります」という言葉で始まった講演は、1989年に子どもの権利条約が成立するまでの世界の人権意識の変遷を追い、その後十年間の子どもを巡る権利がどのように確立されていったかを振り返った。特に2000年は武力紛争への子どもの関与を制限する年齢を15歳から18歳へ引き上げることと、子どもを性的な売買に利用・子どもを被写体としたポルノの所持も処分の対象とすることを法律で明文化するよう求める動きが条約レベルでなされていることに大きな意義を見出していた。また今後の日本の課題としてメディアによる児童ポルノの蔓延と、人権意識の普及の不十分さ、省庁間の食い違い、NGO・市民社会との協力、子どもの参加などを指摘された。理路整然としたわかり易い講演であった。     
●3.パネルディスカッション
パネリスト:ヴィティット・ムンタボーン(上記)、毛利 子来(小児科医師)、アグネス・チャン(歌手、エッセイスト、日本ユニセフ協会大使)、東郷 良尚(日本ユニセフ協会専務理事、コーディネーター 迫田 朋子(NHK解説委員)
 ・子ども達の20世紀
 ・子どもの人権
 ・日本とアジアの子どもを取りまく環境
 ・21世紀の子ども達のためにー私たちに出来ること
夫々に子どもの人権問題との関わりを織り交ぜながら自己紹介の後、上記の4つの柱に沿って話題を提供。ムンタボーン氏は子どもの権利条約の批准により各国が法律面の整備に取り組み始めたことは評価に値するが、実施面がまだ伴わず、市民社会や子ども自身に対して十分に開かれていないことを論理的に力説。毛利氏は日本でもアフリカでも子ども達が無権利状態に置かれている状況に変わりはないとし、大人と対等な存在として子ども観を変えていく必要性を一町医者の視点で話す。アグネス氏は子育て経験の国際比較と視察した難民キャンプの子どもの惨状を映像と情感豊かな話し振りで訴えた。
主催者側として東郷氏は来年の世界会議へ向けたユニセフの取り組み(子ども買春・子どもポルノの発信地である日本において昨年取り締まりの法律を制定させて来たこと、最近ユニセフ子どもネットを発足させたこと、世界会議に日本の子ども33人を参加させるための人選作業を始めたことなど)を事務的な口調ながらPRし、最後は迫田氏が「子どもに優しい21世紀を創るために協力を」とまとめ、アグネス氏の先導で会場の参加者全員で「Happy birthday dear children_」と歌って締めくくった。
日英の同時通訳機の貸し出しもあり、映像をパネリストの背景に流しながらと聴衆を引き付ける工夫が見られ、会場もほぼ満席と盛況であった。学生風の若い女性と教師風の中年男女、後は協力団体からと思われる熟年女性がほぼ同率位で参加していた。帰りがけの周囲の反応を耳にしたが、アグネス氏は予想以上に多弁で若い聴衆の心を捉えていた様子。欲を言えば児童買春・児童ポルノの問題にもっと的を絞ってくれればという感想を持ちました。

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