第3回世界会議(2008年)


第3回「児童・青少年の性的搾取に反対する世界会議Ⅲ」報告
2008年11月25~28日

1996年にスウェーデン・ストックホルムで開催された第1回世界会議、2001年の横浜世界会議に引き続き、「児童・青少年の性的搾取に反対する世界会議Ⅲ」が11月25日から28日まで、ブラジル・リオデジャネイロで開催されます。今回から「商業的」という表記が抜け、「青少年(Adolescents)」という表記が加わっています。今回の会議開催は、世界人権宣言採択から60周年、子どもの権利条約採択20周年の前年にあたります。子どもと青少年の性的搾取は一国だけ、ひとつの組織だけで解決できるものではありません。この問題に立ち向かうには、政府、国際組織・NGOそして世界中のコミュニティの働きを連携させてゆくことが必要です。会議はブラジル政府、UNICEF、ECPAT、子どもの権利条約のためのNGOグループによって共催されました。

会議の目的
 会議の目的は、次の手段を講じることですべての国が子どもと青少年の権利-特に子どもが性的搾取から守られる権利-を保障するよう結集することです。
  • ①各国が対策や経験を分かち合う
  • ②重要な課題について国家間および国境を越えたより広範な国際協力を促進
  • ③子どもと青少年を性的搾取から守るため、組織的かつ様々なセクター間の協力を促進
  • ④会議で取り上げられたテーマへの取り組みがモニタリングできるように、期限を定めた目標を立てる
会議の主要テーマと準備
会議では、次の5つの主要テーマについて話し合われます。すなわち、

  • ①商業的性搾取の新たな局面
  • ②法的枠組みと法執行
  • ②統合されたインターセクトラルな政策
  • ④民間セクターの役割と企業の社会的責任
  • ⑤国際協力のための戦略

 です。世界会議開催前には、2001年の横浜世界会議以来、ポジティブな国内での経験そして課題を確認しつつ、この問題に対する取り組みがどれぐらい進められてきたかについて、世界各国で再検討が行われるとともに、様々な地域で地域協議が開催されます。

会議主催者とパートナー
 会議の主催者はホスト国であるブラジル政府、国際ECPAT、UNICEFと子どもの権利条約のためのNGOグループです。
 4つの主要なパートナーは、中央組織委員会を構成し、会議成功に向けて世界各地の政府とステークホルダーを動員するためのグローバル・アクションをコーディネートしています。
 中央組織委員会には、第1回、第2回世界会議のホスト国であるスウェーデン政府と日本政府も永久アドバイザーとして参加、その他特別報告者と専門家からなる諮問グループも参加します。(特別報告者、UNAWTO、ISPCAN、セーブ・ザ・チルドレンINTERPOL、ILOなど複数の国際機関、NGO、研究所からなります)
会議開催プロセスの中で各セクターに求められている役割
  • 政府の参加
     世界会議では政府、市民社会、NGO、子ども、学界、プライベートセクターが様々なレベルにおいて協働することが求められています。特に政府の参加はゴール達成に重要な役割を果たします。

    1996年の第1回世界会議には、122か国から718人、第2回世界会議には136か国の政府代表が集まりました。今回の会議には190か国・1000名を超える政府代表の参加が期待されています。政府代表は国内における防止、保護、回復とリハビリ、帰還(repatriation)、若者とユースの参加、国際協力 に関する10分間の報告を行いますが、公式文書を読むのではなく、重要なイシューの提示や自国の経験の分析が求められています。政府代表は専門家としても参加します。

  • NGOと市民社会の参加
    子どもたちのためのドロップインセンター(子どもたちが気軽に立ち寄れ、相談や衣食住や識字教育などのサポートを受けられる場所―編集者注)やシェルター、ホットライン、コミュニティ組織、子どものHIV/AIDSユニット、 資料センターなど、NGOや市民社会の代表の多くは地元で子どもと直接関わる仕事に携わっているので、彼らの経験や知識は会議のアジェンダを決める時、大変貴重です。

    NGOと市民社会の代表は、これまで開催された2回の会議でどれだけ対策が講じられてきたか進捗状況を確認するとともに、会議後のフォローアップの中心的担い手となることが期待されています。情報源となって関連省庁の会議参加を支援し、関連省庁とミーティングを開催したりするほか、子ども参加の促進も期待されています。

  • 子ども参加
    1996年の第1回世界会議で子どもたちは会議への子ども参加の前例を作りました。その後子ども参加は国内行動計画の中心となり、重要な戦略となっています。第2回世界会議では、横浜ユース・アピールが宣言され、子ども参加の促進するため、(子ども同士の)ピア・サポーターやピア・カウンセリングを導入するところも増えています。

    第3回世界会議では多くの子どもたちが子ども参加の「エキスパート」として参加することになるでしょう。今会議では300名のユース代表の参加がされており、そのうち150名が世界各国からの若者代表です。会議ではテーマごとのワークショップ開催、円卓会議での討論、マスメディアとの対話、展示、文化プログラムなどが予定されています。

(国際エクパットホームページから要約。2008年7月発行当会ニュースレターから転載。)

会議報告

 08年11月25日~28日にブラジルで第3回子どもと青少年の性的搾取に反対する世界会議がブラジル・リオデジャネイロ郊外のリオ・セントロ国際会議場で開催され、政府代表・国際機関・NGO・企業などから約170か国・3500人余りの参加者(うち300人はブラジル及び世界の子どもと青少年)が集まった(会議背景は本誌No.194号参照)。

 ECPAT/STOP子ども買春の会からは2名が参加。国際ECPATを支援する企業のひとつであるエールフランスの渡航支援があり、パリ経由でリオに到着した。同社は国際ECPAT支援のための寄付金つき熊のぬいぐるみの機内販売を行っている。また帰路リオ・パリ間では子ども買春が犯罪であることを伝える機内ビデオの上映もあった。

会議概要
 開会式が約2時間遅れのスタートとなるなど、会議運営全体に漂う大まかさに戸惑ったがこれは日ごとに改善された。だがポルトガル語での発表が続くなか、参加者に紙の資料はほとんど配布されなかったため、イヤホンでの英語の通訳を聞き漏らすまいと必死にメモを取った。
 25日の開会式にはスウェーデンのシルビア王妃がポルトガル語で第1回世界会議から第3回会議までの成果と新たな課題を述べられ、政府、NGO、国際機関や企業、市民セクターが共にこの問題に取り組む意義について語られた。

 日本政府代表として外務省の西村外務大臣政務官は「本会議を契機により多くの人がこの問題に関心を持ち、リオの太陽の光のように明るく力強く希望に満ちた未来を、世界中の子どもたちに約束できるように願ってやまない、そのために我が国も積極的に協力していく」と述べた。

 ブラジルのルラ大統領は夫人と共に出席し、子どもと青少年の性搾取問題への強い怒りを表明し「問題の原因を考えてみてほしい、金銭的に豊かな人々が原因の一端を担っている。もっと人間らしくなってほしい。この問題の放置は人類の恥だ」と力強くアピールし、会場から大きな拍手が沸いた。大統領はその場で子どもポルノの単純所持を処罰する国内法に署名した。

 開会式をはじめ会場の壇上にはつねに男女二人の青年が同席し、ユースの立場からこの問題の解決に向けて法律の制定や適切な法執行、国際協力、教育の必要性、被害に遭った子どもの社会統合などについて力強く語った。子どもと青少年はこの問題の解決に向けて重要なパートナーであるという主催者の思いが伝わる。会議場の外には国際機関やNGOのブースが置かれ、またユースの絵などの展示もあった。

 26日~28日には今回の会議の主要テーマ―①性的搾取の新たな局面②法的枠組みと法的責任③統合されたインターセクトラルな政策④企業の社会的責任のイニシアティブ⑤国際協力のための戦略―ごとのパネル討議の間に、全部でテーマに関連した約80の多彩なワークショップが開催された。26日には私たちの団体も日本ユニセフ協会の協力を得ながら「子どもと青少年の性的搾取に関連する法整備」について、ワークショップの報告者のひとりとして日本の現状を報告した。個人的には、世界的にますます対策が求められている観光における子ども買春に関するワークショップを中心に参加しインドなど新たに問題が顕在化している国々の報告や対策などを聞きました。

子どもと青少年の性的搾取の防止と根絶のためのリオデジャネイロ宣言及び行動計画
 最終日に「子どもと青少年の性的搾取の防止と根絶のためのリオデジャネイロ宣言及び行動計画」が採択された。(後日「リオ協定」に変更された)A4用紙13ページに及ぶ宣言と行動計画には「子どもと青少年の性搾取は子どもが人間としての尊重される権利を侵害し、心と体をばらばらに壊してしまうがゆえに絶対に容認できない」とあり問題に関する共通認識、取り組みのための法的枠組み、2013年までに政府が達成すべきことなどを盛り込んでいる。

 文書では特に、ますます発展するインターネット上に子どもポルノや子ども虐待イメージが氾濫している現状を踏まえ、子どもポルノの定義の明確化、(仮想の画像や性的搾取の表現を含む)画像の製造、提供、所持、入手、アクセス、閲覧を犯罪とみなすこと、子どもや親、先生などへの意識啓発、教育の重要性、犯罪防止に向けてのプロバイダー支援などを訴えています。具体的な行動を今すぐに、というメッセージを強く感じた世界会議でした。会議終了後、現地で国際ECPAT総会も開催されました。

「売買春問題ととりくむ会ニュース 09年1月号より転載、一部変更)