県子どもを犯罪の被害から守る条例:つきまといに罰金も 7月施行へ詳細発表 県警「意識向上につなげたい」 /栃木
県警は25日、7月1日に施行する「県子どもを犯罪の被害から守る条例」の詳しい内容を発表した。13歳未満の子どもへつきまとったり、児童ポルノを所持したりしながら廃棄命令に従わなかった場合、30万円以下の罰金を課す。県警は条例の制定を子どもを犯罪から守る意識の向上へとつなげたい意向だ。【松本晃】
同様の条例は奈良県、大阪府が制定しており、栃木は全国で3例目。条例では(1)「おもちゃを買ってあげるからおいで」などの甘い言葉で子どもを惑わすなど不安を与える行為(2)つきまといなどの威圧行為(3)13歳未満の児童を被写体とするポルノを所持し、県公安委員会の廃棄命令に従わない行為--を規制対象に制定。(2)(3)に違反した場合は30万円以下の罰金、(1)については罰則は定めなかった。
県警は05年の「今市事件」が未解決なことや、子どもへの犯罪の不安が高いとの県民調査結果を受け、昨年7月に有識者会議を設置し、条例の内容を検討。これまでも09年に「子ども・女性安全対策班」を設置し、児童につきまとう不審者を警告してきた。ただ、罰則がなく、つきまといなどの件数は09年の68件から10年に約150件と急増。11、12年も同様の水準で高止まりしていた。
県警生活安全企画課によると、条例へのパブリックコメントでは「誤認のおそれから、子どもに声をかけにくくなるのではないか」といった意見も多かったという。これに対し同課は「声かけやあいさつは防犯上の観点からも有効で、推奨している」としている。さらに、条例化することで大人の甘言などの危険性が明確になるとし「他人の子どもに遠慮せずに注意することが、子どものためになると思ってもらえれば」と話している。
3月26日朝刊 毎日新聞