今年上半期の児童ポルノ被害、最悪316人 背景にスマホ利用急増
今年上半期(1~6月)に児童ポルノ事件の被害に遭った児童数は前年同期比で2割以上増の316人に上り、過去最悪だったことが12日、警察庁のまとめで分かった。被害児童は加害者側との連絡の際に、急速に普及しているスマートフォン(高機能携帯電話)を利用しているケースが急増しており、警察庁はスマホの使用に潜む危険に注意を呼びかけている。
警察庁によると、児童ポルノ事件の各年の上半期の被害児童数は平成19年に初めて100人台となり、22年には統計を取り始めた12年以降最多となる271人となった。今年上半期はさらに増加、初めて300人を超えた。
最近はスマホの無料通信アプリ「LINE(ライン)」などの利用者の被害が増加傾向にあり、スマホで加害者側と連絡を取ったところ、脅されるなどして裸の写真を送らされたり、わいせつ行為を撮影されたケースもあったという。
警察庁は昨年、スマホをめぐる被害状況の調査を開始。昨年上半期にスマホの利用で被害に遭ったのは19人で携帯電話は115人だったが、今年上半期は携帯電話が75人と減少したのに対し、スマホは84人と4倍以上増加した。警察庁幹部は「子供がスマホを購入する際、利用方法によっては危険なことを親子で確認してほしい」と話している。
今年上半期の児童ポルノ事件としての摘発件数も、763件と過去最多だった。このうちファイル共有ソフトが使われた事件は204件と、過去最悪だった昨年同期比で45件減となったが、依然として高水準となっている。
ネットでの児童ポルノの提供などは9割近くが無償で行われている。警察庁幹部は「愛好家の間でやり取りされており、今後も注視していく」としている。
産経新聞9月12日