福祉犯罪被害、SNSきっかけが5割超 目立つ低年齢 神奈川
SNS(ネット交流サービス)上でのやりとりを通じて、18歳未満の子供が性犯罪などに巻き込まれる事件が後を絶たない。神奈川県警少年捜査課によると、今年1~5月に児童買春・児童ポルノ禁止法違反事件などの福祉犯罪の被害に遭った183人のうち、半数を超える103人(暫定値)が、SNSや出会い系サイトがきっかけで容疑者らと知り合っていた。【洪玟香】 同課によると、SNSや出会い系サイトをきっかけに被害に遭う割合は増加傾向にあり、2020年は46・6%(167人)に達した。今年1~5月(暫定値)は56・3%で前年を上回っている。 低年齢の被害者の増加も目立つ。20年に被害に遭った小学生は20人で、10年(3人)に比べ6倍以上になった。このうち半数の10人がSNSなどをきっかけに事件に巻き込まれたとみられる。容疑者らはSNSなどで知り合った子供に対し、「好きなものを買ってあげる」「相談に乗るよ」などと言葉巧みに誘い出し、わいせつな画像を送らせたり、会ってわいせつな行為をしたりしていた。20年9月には、横浜市青葉区の当時小学4年の女児が、38歳の男にオンラインゲームのチャット機能で声を掛けられ、男の自宅に連れ込まれた。男は女児を連れ回した容疑で現行犯逮捕され、未成年者略取などの罪に問われ、公判中だ。同課は「判断能力が未成熟で、純粋に大人の言葉を信じる子供の心につけ込んでいる」と指摘する。また、新型コロナウイルスの影響で、アルバイト収入が減少するなどして経済的に困窮した高校生らが被害に遭うケースもある。容疑者らはSNS上でやりとりをして呼び出し、現金を渡す約束をしてわいせつな行為をするなどしていた。こうした被害を減らそうと、県警はLINEみらい財団、県教育委員会と連携して、SNSをきっかけとするトラブルの対応方法を学べる教材「SNSの上手な使い方を考えよう!」をホームページで公開している。SNS上で知り合った人と安易にメッセージのやりとりをせず、トラブルになりそうな時は信頼できる大人に相談するよう呼び掛けている。また、県警の講習を受けた高校生が地元の小学校で講師を務め、SNSの危険性などを教える取り組みも始めている。今月14日には、星槎国際高校湘南の生徒が大磯町立大磯小学校で「サイバー教室」を開いた。夏休みが始まると、自由な時間が増える児童・生徒も多くなる。県警の担当者は「SNSでつながった知らない人に休み中の子供が会いに行き、事件に巻き込まれてしまうケースもあるので、気をつけてほしい」と話している。