【独自】学童経営者、13人にわいせつ70回…元保育士は「親に説明できない」障害児狙う

8/22 読売新聞

子供13人へのわいせつ行為。子供に障害があれば拒否できない――。学校を終えた後、子供たちが過ごす「放課後児童クラブ(学童保育)」と「放課後等デイサービス(放課後デイ)」を対象とした今回の全国調査。子供たちが様々な立場の職員たちと接する「放課後」にも、多くの危険性が潜む実態が垣間見えた。

「信頼」逆手

「児童の健全な育成を図るべき立場なのに、被害児童らが被告を信頼していたことなどを利用した卑劣な犯行」関東地方の裁判所で2017年8月、民間の学童保育を経営する30歳代の男に強制わいせつ罪などで懲役10年の判決が言い渡された。判決によると、男は13~16年、預かった男児や男子中学生ら計13人に対し、計70回以上、わいせつな行為を繰り返した。男は、過去に従業員として勤めた学童保育でも、児童にわいせつ行為をしていたことも明らかになった。男は学童保育の施設内のほか、送迎の車中や宿泊施設などで犯行に及んでいた。

「都合良い」

静岡県では今年6月、放課後デイに通う知的障害児らにわいせつ行為をした元保育士の30歳代の男に、強制性交罪などで懲役12年の判決が言い渡された。判決では、男は19~20年、自身が勤務する放課後デイを利用していた知的障害などのある10歳代の少女3人にわいせつな行為をし、その様子を動画で撮影。特別支援学校などに車で迎えに行き、車内などでわいせつ行為を繰り返したと指摘された。男が検察当局に対し、「障害があれば、無理やりする行為を拒否できない。被害を親や周囲に説明できないから、都合が良い」などと供述していたことも裁判で明らかになった。事案を監査した同県の担当者は「資格を有した児童指導員や保育士を一定数配置しているが、今回の事件では、その保育士が犯行に及んでしまった」と話した。

近い距離感

両施設は、遊びや運動、体験活動が中心で、楽しく過ごせるのが特徴だ。職員らとも距離感が近くなりがちで、放課後デイでは、障害児の支援のために1対1で触れ合うことも多く、職員との関係は、学校よりも密接になりやすい。

氷山の一角

性暴力撲滅の啓発活動を行うNPO法人「しあわせなみだ」の中野宏美理事長は、「子供を支援する立場の職員によるわいせつ行為は決して許されず、障害のある子供であればなおさらだ」と指摘。そのうえで、「両施設では、職員を異動させたり解雇したりして内々に処理するケースもあり、自治体の把握人数は氷山の一角だろう。性被害は自治体や警察に通報すべきだという認識を施設側にも定着させ、実態を掘り起こす必要がある」と話す。

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