こども庁で日本版DBS検討 教育現場の性犯罪排除

12/8 産経新聞

政府は、令和5年度の設置を目指す子供関連施策の司令塔「こども庁」で、性犯罪歴を持つ人物が教育や保育の現場などで働くことを制限する「日本版DBS」の創設を検討する。子供と接する職業に就く人には性犯罪歴がないことの証明が必要な英国の制度がモデル。教員や保育士は所管省庁も異なることを踏まえ、こども庁で一元的に対応する狙いがある。 DBSは英内務省が所管する組織「ディスクロージャー・アンド・バーリング・サービス(Disclosure and Barring Service)」の略称で、性犯罪歴がないことを証明する書類を発行している。英国では書類を提出しなければ子供に接する職業には就くことができない。性犯罪は再犯率の高さが指摘されており、子供の安全を守るため、危険性の有無をチェックする仕組みだ。政府関係者によると、諸外国でも同様の仕組みが取り入れられており、日本でも導入に向けた検討が進められてきた。 政府が昨年12月に閣議決定した「第5次男女共同参画基本計画」では、子供が活動する場所で勤務する人に対し「海外の法的枠組みも参考にしつつ、性犯罪歴がないという証明書を求めることを検討する」と明記した。今年の通常国会では、児童生徒へのわいせつ行為で懲戒免職となった教員に対する免許再取得の制限強化を柱としたわいせつ教員対策法が成立している。 ただ、子供と接する仕事は文部科学省所管の学校だけではなく、厚生労働省が受け持つ保育の現場に加え、学習塾、ベビーシッターなど多岐にわたる。また、個人の前歴にかかわる仕組みづくりには法務省や警察庁との調整が必要なため、省庁横断で子供政策に対応するこども庁で検討を進める方針だ。 野田聖子こども政策担当相は3日の記者会見で「日本版DBSの議論をこども庁で排除することはない」と述べた。犯罪歴がないことを証明する制度は個人情報保護との兼ね合いもあり、野田氏は「導入にあたっては既存の法律との整合性をしっかりととらなければならない」とも語った。 政府はこども庁の設置時期について「令和5年度の早い時期」を想定。同庁が新たに実施する業務としては日本版DBSに加え、子供が死亡した場合に原因などの情報を収集する「CDR(チャイルド・デス・レビュー)」、子供に関する情報を一元的に把握する「こどもDB(データベース)」が浮上している。

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