性被害防止、ネット広告で啓発 閲覧履歴、検索ワード基に個別配信 兵庫県が取り組み強化
兵庫県は2022年度から、会員制交流サイト(SNS)を通じた青少年の性被害を防ぐため、施策を強化する。利用者のサイト閲覧履歴や検索ワードを基に広告を表示する「ターゲティング広告」を活用し、性犯罪に巻き込まれるリスクについて注意喚起。ネットトラブルをテーマにした小学生向けのワークショップも企画し、若年層の意識啓発につなげていく。(金 旻革)
「ツイッター」や「TikTok(ティックトック)」、「インスタグラム」など、若者に浸透するSNSを介した出会いから性犯罪に巻き込まれる事例は近年、増加傾向にある。警察庁によると、SNS経由で犯罪に遭った18歳未満の子どもは20年で1819人。被害者数は11年に1085人だったが、近年は1800~2千人程度で推移している。およそ半数が児童買春・児童ポルノ禁止法違反事件の被害者。未成年者とのわいせつ行為などを禁じた青少年保護育成条例違反事件の被害者は、約4割を占めるという。県は、未成年がデートなどの見返りに金銭を受け取る「パパ活」や、家出などの際に宿泊先の提供者を探す「神待ち」といった、性犯罪の危険性が高い行為に対し、未然に注意を促すターゲティング広告を配信する。具体的には年齢や性別、ネット上の住所であるIPアドレス、検索ワードなどを基に、SNSを利用する県内の未成年者らに啓発用の広告を表示。加害者になる恐れがある成人にも広告で警告する仕組みを取り入れる。同様の取り組みは東京都や大阪府が先行実施している。また、小学生向けのワークショップを企画。性被害防止をはじめ、ネット依存やネット上のいじめなどに対する啓発を想定している。県は関連経費として計約630万円を22年度当初予算案に盛り込む。県の担当者は「青少年の性被害を少しでも食い止める施策になれば」と話している。