ECPATのガイドライン


ECPATの方針に関するガイドライン

子どもの権利を守る3つのP

国際ECPATは、「子ども買春」「子どもポルノ」「性的目的での子どもの人身売買」の三つの世界的な問題を根絶するために、協力して取り組みを進めている組織や個人のグローバルなネットワークです。ECPATは、あらゆる地域の子どもたちがあらゆる形態の性的搾取に遭うことなく、平穏を得られ、基本的権利を享受できるよう国際社会に訴えます。

ECPATは特定の政治団体や宗教団体に属するものではありません。(ただし、「Declaring mission」で表明している意見を共有するいかなる組織、個人とも協力します。)

ECPATは日々の活動において、「子どもの商業的性的搾取に反対する世界会議」(1996年・ストックホルム)で採択された「行動アジェンダ」(以下、「ストックホルム行動アジェンダ」)の完全実施を目指します。

子ども買春

  • ECPATは、18歳未満の子どもが貧困、脅迫、及びその他のいかなる理由でも売春をさせられることのない状態を目指します。
  • ECPATは売買春に巻き込まれている子ども全てを搾取の「被害者」と捉え、法律、法執行メカニズム、及び搾取の被害に遭った子どもが被害者として扱われる司法手続きが整備されるよう取り組みを行ないます。
  • ECPATは、子どもを性的商品として使用することを促すようなあらゆる行為に反対します。
  • ECPATは子ども買春観光に反対します。ECPATは、旅行者の送り出し国と受け入れ国の双方において、また国内、国際両レベルにおいて、子ども買春観光と闘うための取り組みに関与します。
  • ECPATは、子ども買春観光に対する既存の手段の強化及び旅行・観光関係者の訓練を推進するとともに、子ども買春観光を効果的に抑止できる業務基準を採用するよう旅行・観光業界に促します。
  • ECPATは、あらゆる子ども虐待行為の訴追が、国内レベルにおいてのみならず、域外管轄権に基づく手続き(刑事法の国外犯適用)に沿って国際レベルにおいても可能となるよう求めます。
  • ECPATは、世界のあらゆる地域における子ども買春の拡がりや実態を把握するために適切な調査を行ないます。「ストックホルム行動アジェンダ」を実施する上で必要な変化を政府や社会に対して訴えるためには、誰が「被害者」そして「加害者」となっており、「どのような社会経済状況において子どもが性的搾取の被害に遭いやすいのか」を理解する必要があります。
  • ECPATは、子どもが生計手段として性産業に巻き込まれることを防止するとともに、子どもたちが子ども時代において基本的権利(家族の庇護の下での発達、情緒的平穏、経済的・社会的保護、教育、保健など)を享受することを可能とするような防止政策を明確化し、推進することを目指します。
  • ECPATは、売買春の被害者の「リハビリや保護のための手段」、そして被害者へのケア提供者に対する「適切な訓練方法」を特定し、推進することを目指します。

子どもポルノ

ECPATは、子どもを関与させる性的活動を描写、若しくは模写、あるいはあからさまな表現方法で子どもの性器を開示している、18歳未満の子どものあらゆる筆記、視覚的又は聴覚的描写に反対します。

ECPATは、全ての国が擬似子どもポルノ(※1)を含む「子どもポルノの製造」「頒布」「輸入及び単純所持」を犯罪とし、製造者、頒布者、輸入者及び/又は所持者に対して厳しい罰則を与えられることが必要です。その際、犯罪意図又は商取引の証拠があることを要件としてはなりません。※1「擬似子どもポルノ」とは、シュミレートされた子どもポルノ(simulated child pornography) の訳です。

ECPATは、全ての国において適切な立法がなされることを目指して、ロビーイング活動と意識喚起に取り組みます。

ECPATは、子どもの権利一般及び性的搾取から保護される子どもの権利が、大人のプライバシー及び言論の自由に対する配慮に優越すべきであると唱えます。上記の子どもの権利は、いかなる理由によっても決して剥奪されてはなりません。

ECPATは、インターネットに関係する子どもポルノの訴追を容易にするような、二国間、及び多国間取り決めを含む立法及び法執行メカニズムの適切なモデルを検討することを支持します。

ECPATは、コンピューター及びインターネットを利用した子どもポルノの伝送に関わる技術的問題に対する解決策を設けるために、インターネット・サービス・プロバイダー(ISP)やソフト及びサーチ・エンジン製造業者と前向き、かつ協力的な関係を構築することを目指しています。

ECPATはISPに対して、警察に子どもポルノを通報することを約束し、ユーザーにその意思を知らせるとともに、サイト上で子どもにやさしい情報を提供することを内容として盛り込んだ行動規範を定めることを奨励します。

ECPATはISPに対して、子どもに対する性犯罪者によるインターネットの犯罪利用を防止するため、関係省庁にあらゆる可能な協力をすることを奨励します。

ECPATは、子どもたちが子どもポルノの被写体となったり、インターネットを介して有害な素材に晒されたりして被害に遭うリスクを減少させることを可能にするような「市民教育」や「意識喚起プログラム」を支持します。

よって、ECPATは、子どもたちや大人たちが子どもポルノを通報したり、インターネット利用に潜む危険について学んだりすることができる「国内ホットライン」や「教育ウェブサイト」の開設も奨励します。

ECPATは、地元の警察の具体的な許可があり、彼らとの協力がなされていない限りは、また、教育目的で厳格に管理された状況下にない限りは、その業務において、スタッフやメンバーが子どもポルノを所持することは適切でないと考えます。しかし、ECPATは、法執行機関が立法者や裁判官のような社会変革をもたらす可能性のある者に対して子どもポルノの例を示すことは奨励します。但し、そのような使用に際しては、被害者の救出と保護のために場所や身元の特定が必要となる捜査活動の資料として用いられる場合を除いて、当該素材において搾取されている子どものプライバシー権の保護が常になされなければなりません(例えば、顔にボカシをいれる等がの措置が取られなければなりません)。

性的目的での子どもの人身売買

子どもの人身売買ルート

ECPATはあらゆる形態の子どもの人身売買に反対します。ECPATは様々な調査プロジェクトを通じて、どの程度、子どもたちが性的目的で売買されているか、また売買の後に性的搾取の被害者になっているかを特定することを目指します。

ECPATは、子どもが人身売買の被害者とならないようにするための防止プログラムを推進します。

ECPATは、売買された子どもの「身元特定」「救出」「安全確保」「安全な本国送還」とともに、彼らに生じたトラウマに対処しリハビリを行なうケア提供者に対する「適切な訓練」を奨励します。

ECPATは、人身売買された被害者が法律、法執行機関の業務及び司法手続きにおいて被害者として保護されるメカニズムの整備を推進し、奨励します。また、ECPATは、売買人を逮捕、訴追できるとともに、人身売買ルートを根絶できるような適切な法執行メカニズムの整備を推進することを目指します。

弱い立場に置かれた子どもたちに対する性的搾取

世界の人身売買のうち79%が性的搾取

世界の人身売買のうち79%が性的搾取

ECPATは、家庭内、地域内から、戦争その他の政治的経済的に不安定な状況下に及ぶまで、「あらゆる状況下における子どもの性的搾取」に対し、一貫して反対します。

ECPATは、性的虐待・搾取を受けた子どもたちのために働く他の非政府組織(NGO)の理念や活動を連帯感とパートナーシップをもって支持します。

若者の参加

子どもの商業的性的搾取との闘いへの若者の参加を促進することは、国、地域及び国際レベルにおけるECPATの取り組みにおいて不可欠な要素だと考えます。

ECPATは若者と協力して取り組みを進めるとともに、若者代表(25歳以下)を国際理事会の一員とし、その職務を支援します。

ECPATは若者が関連情報を得る機会を作り、彼らが考え、行動するための有益な機会を提供するのと同じくして、若者のこの問題に対する理解力を向上するべく努力します。

ECPATは、若者が国内行動計画の開発、実施及び評価に他の若者の参加を促すために、彼ら自身で計画を作り、実行することを奨励します。

メディアに関する方針

ECPATは、性的虐待の犠牲になった子どもがメディアでの露出によって二次的搾取に遭わないよう保護されることを求めます。メディアによる写真、ビデオ、フィルムの使用によって性的虐待を受けた子どもの身元が明らかになる可能性がある場合には、その使用が認められてはなりません。

ECPATは、子どものプライバシー権に対するメディアの意識向上を奨励するとともに、メディア関係者が子どもを更なる搾取から保護するためのガイドラインを採用することを促します。

ECPATは、メディア関係者が性的搾取を受けた子どものプライバシー権を適切に尊重して行動することを期待します。

公的機関との連携

ECPATは、NGOと公的機関が果たす役割の違いを尊重します。それぞれの活動の全てにおいて、各々のメンバーやスタッフは犠牲になった子どもの最善の利益を守ることを目指しています。ECPATは、単独で子どもの虐待の捜査を行なうことはなく、むしろ、関係する情報や、必要な場合には訓練を提供することによって、公的機関の活動を促し、支援します。

また、ECPATは相互の信頼に基づいた関係を確立すべく、公的機関、特にインターポール(国際刑事警察機構)とネットワークを結んでいきます。

ECPATはインターポールの「年少者に対する犯罪に関する常任調査委員会」の活動を支援するとともに、あらゆる国の公的機関がこの専門家委員会のメンバーとなり、またはメンバーであり続けるよう奨励します。

ECPATは、公的機関の職員が訓練の機会を得て、特に子どもの保護に関する国内法や国際法の規定に精通するよう取り組みを進めます。

ECPATは、公的機関による捜査及び司法手続きが行なわれている間、被害者やその家族を励まし、支援をします。

子どもの保護に関する方針

国際ECPATの全ての加盟団体は子ども保護に関する方針と手続きを策定し、維持していくことを奨励されます。

これらの方針や手続きは、事後対応的というよりは予防的なものであるべきであると考えます。その目的は子どもにとって安全な環境を守ることに寄与するものであって、組織内のいかなる者もECPATの使命に反する目的のためにその立場を利用してはなりません。

ECPATは以下のガイドラインを利用する事を推奨します。詳しい内容は国際ECPATのウェブサイト又は国際事務局で入手できます。

  • エクパット・オーストラリアの「注意して選ぶ:子どもにとって安全な組織の構築」
  • ワールド・ビジョンの「(ワールド・ビジョン)パートナーシップにおける子どもの保護に関する方針」
  • セーブ・ザ・チルドレンの「子ども保護に関する方針:子どもを守り、虐待を防止する」
  • メレディス・キラリー「ペドファイルの問題:子どもや若者のケアを担当するスタッフを採用する際のガイドライン」(『オーストラリアの子ども』第21巻第2号、1996年)

国際ECPATの加盟団体においても国際事務局においても、その雇用契約の中に、子どもに関わる個人的な行為で組織の信用を傷つけた職員を解雇する規定を設けることを勧告します。

写真に関する方針

国際ECPATは、出版物の中で身元の特定が可能な「実在の」子どもの写真を使用しないよう求めます。その写真の出所が確認されておらず、写っている子どもの許可が得られていなければ、その子どもまたは子どもたちが性的搾取を受けたかそうでないかは判断できません。もし搾取されていた場合には、ECPATの出版物の中に写真を掲載することでその子どもまたは子どもたちに二次被害を与える恐れがあります。
したがって、国際ECPATのいかなる出版物においても、事務局は身元が特定できる子どもの画像を、以下の場合を除いて、使用を控えます。

  • 絵や写真などの中の子どもが描写や撮影の後に18歳に達していて、その画像が掲載される文脈や内容が理解でき、かつその個人自身が使用を許可した場合
  • 絵や写真が、国際ECPATが直接的または間接的に資金を提供した特定のプロジェクトやプログラムの枠内で使われ、かつ当該個人がそのプロジェクト/プログラムへの参加とその際に撮影されることに同意していた場合(すなわち、IYPPP=国際若者参加プログラム)
  • 当該写真に、掲載された子どもの画像は美学的用途のみで用いられたものであって、搾取された子どものものではないことを国際ECPATで確認している旨注釈を添えた場合

ECPAT加盟団体(国内グループ及び関連団体)も上記と同一のガイドラインに従うよう奨励されるべきだと考えます。