子どもポルノ問題


 子どもポルノとは、いかなる手法を用いてであれ、「現実のあるいは擬似・仮想のあからさまな性行為を行う子どもを描写したもの」、または、「性的目的で子どもの性的部位を描写したもののこと」を指します。 子どもポルノは写真、視聴覚題材を使ったもの、文章などを含みます。それらは雑誌、書籍、図画、映画、ビデオテープ、携帯電話、コンピューター・ディスクやファイルを通じて頒布・配信されます。一般的にポルノには二つのカテゴリーがあります。一つは、「性的にはあからさまではないが、裸で挑発的な子どもの画像・描写」、もう一つは、「性行為をしている子どもの画像・描写」です。どちらの手法で子どもを使ってもそれは性的搾取です。ターゲットにされる子どもたちを子どもポルノは多種多様な仕方で搾取します。

被害について

 まず、だまされたり強要されたりして子どもはポルノ制作が目的の性行為をさせられます。あるいは、当の子どもが知らないまま、性的搾取を行っているその間の映像が撮られる場合もあります。そしてこれらの画像は、配信、売買、交換されます。次に、子どものポルノ画像を「消費」、あるいは「所持」する人たちは、さらにこれらの子どもたちを搾取し続けます。つまり、子どもの画像が欲しいという需要があるため、そうしたものが制作され続けていきます。多くの場合ポルノを作った者たちは、自分の作品を使い、その制作に関わらせた子どもたちを威圧、脅迫、恐喝などします。

 ポルノに描写された子どもが捜査により特定できた場合、虐待者が実はその子どもの家族や近親者、あるいは日常の世話や保護の面倒をみている者であったということが往々にしてあります。一方で、ストリートチルドレンや一日のほとんどを街頭で過ごす子ども、すでに強制的に買春をさせられている子ども、そして人身売買された子どもたちもポルノ制作に使われる危険にさらされています。

 子どもポルノが使われる一番分かりやすい目的は、性的な興奮や満足感を得るためのものです。しかし他にも、自らの行動や信条がノーマルであることを確認するため、好みの年齢の画像に子どもの若さを保存しておくため、子どもの虐待に興昧を抱く他の人々とのあいだに信頼関係を築くため、私的なクラブに入会するため、そして、利益を得るため等々の目的でもポルノが使われています。社会的なレベルで考えた場合、子どもポルノはそれが現実のものであれ擬似・仮想のものであれ、子どもの性的虐待と搾取にかかわる需要を絶えず作り出し続けるものですし、加えて、子ども買春、子ども買春観光、性的目的のための人身売買にもつながるものです。

インターネット時代の子どもポルノ問題

インターネット時代の子どもポルノ問題多くの場合、子どもポルノは情報技術 (IT)やインターネットを使って制作され、配信されます。新しい技術とインターネットの進歩により、子どもを搾取する者やポルノグラファーたちはより多くのビジネス・チャンスを手に入れることができ、同時に、配信ネットワークの開発が進み、より広い範囲に配信できるようになりました。また、これらの技術により、子どもに対する組織化された性的虐待や暴力が、商業的買受人や買春観光者、小児性犯罪者、人身売買にかかわる者たちのネットワークを通じて助長されていきます。援助交際のような子どもや未成年の買春という形態も、そうした技術により広まっている。日常生活で情報技術を使っている子どもたちは性的搾取の危険にもさらされています。

 パソコンなどのソフトウエアを使用することで、2枚あるいはそれ以上の画像を組み合わせて一つにしたり、モーフィングと呼ばれる技術を使って、いくつかの画像を1枚のまったく新しい画像に仕上げたりすることが可能です。実在する子どもの普通の画像(ポルノ的ではない画像)をポルノ調に見えるよう加工修正して、「擬似・仮想の子ども」 のポルノ画像を作り上げることもできます。子どもポルノは日本の漫画やコンビューターゲームでもよく眼にすることができ、その中では女の子の登場人物がポルノ的なコンテキストで描かれています。こうしたことから新しい疑問と課題が生まれてきています。すなわち、「擬似・仮想の子ども」の年齢をどう考えるか、実際には被害者が出ていないところでも犯罪は成立しうるか、といった問題です。しかし、子どもポルノは単に裸の子どもたちの画像云々の問題だけにとどまりません。子どもポルノと実際の性的虐待のあいだには明白な関連があります。画像の中の子どもが「現実、生身の」子どもかどうかに関わらず、実在する子どもとの性交願望が消えてなくなることはありません。

 インターネットは、子どもの性的搾取者たちが子どもポルノを入手し、また直接子どもたちへのアクセスを得るために使用されてきました。子どもポルノ制作者は、ファイル共有ネットワーク、ニュースグループ、P2Pなどのシステムやその他の技術を使って子どもポルノを共有し、販売しています。子どもの性搾取者はまた、携帯電話を使ったり、子どもを虐待し搾取する意図で子どもを誘惑しまた手なずけるために、チャットルームなどのオンライン社交サイトに侵入します。

 子どもを守るための統一的な法律がないまま、ネット上で子どもポルノが地球規模で配信されていて、そのために国の法執行機関が犯罪者をその国内で訴追することが困難になっています。インターネットは国境を越えるものであることから、この問題に取り組むためには、互いに整合性のある法規、国際的な警察間協力、IT 産業界側の責任などが求められます。